相手のことを思うのはいいけれど
病棟での出来事。
おじいちゃんの患者さんが手術なのか、処置を受けたのか、絶対安静と指示されている。
にも関わらず、何度も勝手に歩いてしまうという状況。
看護師さんは、なぜ安静にしなければいけないか理由を話す。
それを聞いておじいちゃんは、
「わかった」
と言う。
でも、しばらくすると食事のお膳を下げるのに片足でどうにか行けないかとか、聞いてくる。
このおじいちゃんの気持ち少しわかるんだ。
看護師さんをはじめ、病院のスタッフは忙しく動き回っている。
とても、献身的に対応して下さっている。
だからこそ、少しでも負担を減らしてあげたい、そのために自分で出来ることはしたいという気持ちもあるのだろう。
あるいは、今まで普通に歩き回ることができたのに、今も歩けるのに、それができなくなった、もどかしさかもしれない。
それとも、トイレに行くのに手伝ってもらうことが恥ずかしいのかもしれない。
自分で動こうと思えば動けるのにナースコールで呼び付けるのは申し訳ない。
こんな気持ちもあるのかな…と思うし、看護師さんもそれはわかっているようだ。
だからこそ、頭ごなしに注意はしていないし、理由や、勝手に動き回るとこうなるということを説明している。
だが、それでも、このおじいちゃんはやめない。
看護師さんの言っていることが聞こえる。
「これ以上、勝手に動くなら、足を着いたら自動的にナースコールされるマットとか設置しなきゃいけない。」
と。
相手のためを思ってこの行動をしているなら、それが逆に相手の負担を増やすことになっているのだ。
私も仕事で経験がある。
ある手続きを進めるのに良かれと思って、こっちの指示を待たずに書類が送られてくることがある。
ところが、そうすることで余計な手戻りが発生したり、相手に書き直しを求めなければいけないことがある。
看護師さんの場合、それで、おじいちゃんの状態が悪くなったら、先生に怒られちゃうし、家族がそれでガーガー言い出したら事態収拾が大変になる。
何より、おじいちゃん自身が大変な思いをしてしまう。
そんなことは病院のスタッフは誰も望んでいないわけで、早く元気になるのが一番の恩返しなのだから。
相手のためを思って、何かを申し出るのはいいと思う。
でも、相手がそれで当惑してしまうようなら、素直に言うことを聞いた方がいい。
病院のルールだったり、色々な理由があって申し出を受け入れられないこともあるだろうから。
それを断る手間だったり、
「せっかく言ってくれたのに申し訳ない。」
と思わせてはいけないと思う。
そこまで含めて相手のことを思うのが本当じゃないかな…と思ったのでした。
と、思ったら、また注意されたことを繰り返して、監視部屋(ナースステーションに隣接していてステーションから部屋の様子も見れる。普通は重篤な人を入れる)に強制移動させられました。
ほら、結局、余計な仕事を増やしたでしょ。