軟式バブルの崩壊は近い
すいません。最近、Twitter絡みの記事が多くて。でも、リクエストや反響が多いのも事実なので。
Twitterのいわゆる軟式アカウントというものが非常に流行っており、これに関する書籍も多々リリースされている。
軟式アカウントとは、企業公式(これを文字って「硬式」と言う)でありながら、ゆる~いやりとりを主として行うアカウントのことである。
だが、近頃は軟式指向のアカウントでも色々と問題が起こっている。こうした現状を踏まえて、私はそろそろ軟式バブルが弾けて、勝ち組と負け組の二極化が進むと予想している。
勘違いしている企業アカウントが実に増えていると思う。こうしたアカウントは負け組になると思われる。この記事では、問題事例を取り上げ、最後のまとめとして、何が問題で、どう対処するのが望ましいか筆者なりに考えてみた。
こうした事例を参考に、勝ち組アカウントになってもらえれば幸いである。
1.ゆるいやり取りとだらしないは別物。
Twitterでのやり取りと言えば、ゆる~いやり取りと言われている。その雰囲気を壊さぬようにゆるくやるのは構わない。
過去に私が遭遇したのは、仕事として映像配信を行っているにも限らず、音声のボリュームチェックもしていない、機材も不十分という状態で配信をやっていたのがあった。
これは、「ゆるい」のではなく、だらしないです。これは全くの別物。
映像配信自体はTwitterとは別ですが、Twitterを通じて出演される方を集めていて、出演者も呼び込みをしていたわけです。
なのに、パソコンの前で配信を待っていた人はどう思うでしょうか。音声はいつまで経っても小さいまま、出演している人も何とかしようと必死…。配信をやるなら、最低限でも音声は確保しないと成立しません。
音声だけになってしまったなら、まだラジオのようにもなりますが。また、配信途中のトラブルであれば、仕方ない部分もあります。(回線トラブル、配信システムトラブルなど外因もあり得るから。)
でも、スタート段階から、音声が出ないというのは違います。準備不足だし、音声のレベルチェック程度なら数十分もかかりません。(Ustreamの場合、配信開始前でもチェックできます。)
パソコンの前にいる視聴者は楽しみにしているのに、こんなだらしないものを出すのはどうかと思いますね。
[この事例のまとめ]
・TwitterやUstreamの先にはお客様がいます。そのお客様に誠意を尽くすことが大事。
・ゆるいのとだらしないのは別物。仕事として押さえるべきところはキッチリやりましょう。
—–
2.苦言をツイートしたら、それを隠蔽しようする企業(大中…@daichu_panda)
これは、怒りを込めて具体的な会社名も出します。
パンダが「(・д・)チッ」というツイートをしばしばしていたので、私は、「メスパンダとして、企業の中の人として、これはいかがなものかと。」と書きました。この(・д・)チッというのは舌打ちとしても使うことがあるので誤解を招く恐れがあるからです。
ゆる~いツイートの中で、少々行き過ぎていると感じたので、少しは自重しなさいよ。という意味で書いただけです。なので、「ごめんなさい」と「これから気をつけます。」これで十分なことだったのです。
その後、パンダのジャーマネという人物が、私宛に@でお詫びと、今後、この顔文字は使わせないようにすると書いていました。
それに対して私も、「企業イメージの低下を招きかねないから書いただけですよ」という趣旨の返事を返しました。まー、これでやれやれ…と思ったのですが、次にそのジャーマネからDMが入ってました。その内容は次の通り。
こんにちは。ジャーマネです。ツイート
読ませていただきました。ご心配ありがとうございます。公式になりこちらも監視下におかれています。先ほどのツイートは削除をお願い致します。パンダはみ
んなのそばにいるおともだちの設定です。みんなとなかよくやりたいと思ってます。あの発言ひとつで
さて、この文をもらった私はどう思ったでしょうか。特に最後の部分。
前半で、「監視下におかれています。」とか、「ツイートを削除して欲しい」などと自己保身とも受け止められる内容で、「あの発言ひとつで(パンダは消されます。)」などと続けば、私に責任転嫁しているように思いました。
応急措置として、当該ツイートは削除しましたが、それでも、この最後には納得できなかったので、時間を区切り、それまで返答が無ければ削除したツイートを復活させるとしてDMを送りました。
それに対する返答は次の通りです。
申し訳ございません。
twitbirdでうったのですが途中で消されてしまいました。
いや、twitbirdのせいにするなよ…。仮に文章の途中で送ってしまったとしても、即座に続きを送れば済むことです。
あのDMの続き。
パンダは本社の手で殺されてしまいます。本社のWeb担当はすべて知っているためなんとでもしてしまいます。
本当に申し訳ございませんがよろしくお願い致します。
これを読んでさらに、私は不快に思いました。
元々は私が苦言をツイートするような状況を生んだのは自分たちのはずです。なのに、「あの発言ひとつでパンダは本社の手で殺されてしまいます。」とは何事ですか。これでは、私が悪いとでも言わんばかりです。
もっと言えば、お宅の会社の内部事情なんて客には知ったこっちゃありません。
大中という会社の中で、本社とのコミュニケーションが悪いということと、ソーシャルメディアへの理解がないかを露呈する一文だと思います。
ソーシャルメディアに限らず、人と人とがやり取りをして、仲良くなれば軽口を叩くこともあるでしょう。その中で、ついつい行き過ぎてしまうこともあります。
それをWeb担当とやらが知って、即座に、殺される(アカウント運用を止められる)というのは、理解が足りないと思います。
また、実際にWeb担当がアカウントを即座に止めないかもしれないですよね。ソーシャルメディアに理解があって、「この程度のことはよくあること。きちんとお客様に対して向き合いなさい」と言うかもしれない。で、あるならば、本社と担当者の間で、きちんとコミュニケーションが取れていないということになります。
もっと言うと、「殺されてしまいます」という表現もどうかと思います。「アカウントの運用ができなくなる」とか、もう少し、お客様相手に使うべき言葉はあります。血生臭い言葉を選んでしまう点でも、このDMの送り主は顧客対応が全く出来ていないと思います。
その後、私は次のようなDMを送り、徹底的に非難しました。
私はパンダの(・д・)チッよりも、むしろいきなり発言消せとか、私宛の@も消え、しかも不完全なDMに不快感を感じています。あのDM、読みようによっては「あの発言ひとつで~」というのが私への責任転嫁のように思えてならないのです。元々はそちらの問題では?
監視されていようが何だろうが、それはそちらの話で私には無関係ですよね?そういう脅し文句で隠蔽しようとしているようにしか思えませんが。そもそも、客相手に(・д・)チッなどと舌打ちするのが良いことでしょうか。自ら蒔いた種では?個人的には、当初のジャーマネさんの@を持って終わりにするつもりでしたが、一連のDMで余計に不快になっています。それは関連部署と内々で協議すべきことです。私にそちらの会社の都合を持ち込まないでください。
ここまで記事で書いたことと、ほぼ重複しますが、3通に渡って「それは違うだろ?」という内容を送付しました。それに対しての返事もあります。
脅しや隠蔽に聞こえたこともお詫び致します。
またこちらの発言で不快感を与えてしまったこともお詫び致します。
これからは注意して発言させていただきます。
最初から、こうすれば良いものを、隠蔽行為や責任転嫁、脅しがあるので、後の祭りですよね。私からはさらに、非難が続きます。
今回の一件でよくわかったことは、あなたは、自分のとっての危機が迫っている(本社が把握しているという状況)なのに、危機対応が全くできていないということです。不完全なDMを送付して、続きもすぐに来ないで、余計に心象を悪化させた(続く)
お詫び、お願いなのに不完全な文を送付すること自体、無礼だと思います。ましてや、あの文の前段では自己保身とも言うべき内容で後に続く文は責任転嫁する内容にしか考えられません。今回の一件はこれで収束させますが今後のお付き合いはご遠慮させていただきたいです
本社が把握している、ひょっとしたらアカウントの運用停止があるかもしれない…そういう状況は、この担当者にとっては危機のはず。なのに、不完全な文章を送り、心象を悪化させて、さらに危機を招いたわけです。
実は、このDMでは、「今回の一件はこれで収束させますが」と収束宣言をしたのに、なぜ、社名を出してブログ記事を書いたか…。その後に動きがあったのです。
(1)この企業アカウントは私をブロックしました。
確かに「お付き合いはご遠慮させていただきたい」と書きました。しかし、相手方に弁明の機会を与えるため、ある程度の期間はDMを送受信できるようにフォローを外しませんでした。
しかも、悪いのは自分たちなのに、私をブロックするというあり得ない暴挙に出ました。
これには、私もかなり激怒しています。
私がブロックするのはともかく、これはひどいです。
(2)次のツイートが出ていました。これも私を怒らせた原因です。
【みなさまにお知らせ】こんばんは。諸事情によりパンダをしばらくおやすみさせることにしました。みんなパンダのことかわいがってくれるのにごめんねごめんね。札幌は行くからね。こうしないとパンダをまもってあげられないの。
まず、札幌(のオフ会)に行く予定とのことで、相手が、あることないことを言いふらされると困るので、正しい事実をこうして記事にする必要性がありました。
次に、「こうしないとパンダをまもってあげられないの。」という一文。危機を招いたのはジャーマネです。まるで、誰かのせいで運用が難しくなったようにも見受けられます。
この責任転嫁とも言うべき一文にも腹が立ったのです。
[この事例のまとめ]
・親しき仲にも礼儀あり。公式・非公式問わず企業アカウントである以上、相手はお客様であることを忘れてはいけません。
・ついつい行き過ぎた表現があった場合などは、速やかに「ごめんなさい」と「今後気をつけます」で大半は問題が収まります。
・社内での関連部署とのコミュニケーションはしっかりと。この事例の場合、本社We担当とのコミュニケーションに問題は無かったかが問題ですが、企業のTwitter担当者はクレームを受けることもあると思います。クレーム対応部署などとも日ごろからお付き合いしておくなど、いざという事態に備えておくのが望ましいでしょう。
・お客様をブロックするなんてあり得ないです。よほどのスパム行為でもない限り、通常はすべきではありません。ましてや、相手が怒っている状態では、かえって心象を悪化させます。
—–
3.顧客の最寄り駅をツイートしてしまった企業
ある顧客が「最寄駅には、○○、○○、○○しかお店がない」とツイートし、その発言を検索等で拾った企業アカウントが「○○駅ですね!」とツイートした。そのため、この顧客の最寄駅がバレてしまい、クレームを出した結果、アカウントは運用休止になった。
[この事例のまとめ]
・お客様の自宅最寄駅などを安易に書かない。どうしても、クレーム対応などで当該店舗がどこか聞きたい場合には、フォローをお願いして、DMでやり取りするようにする。
・アカウントを運用停止すれば問題は解決されたわけではない。そのお客様にきちんとお詫びして、再発を防ぐことが一番大事なこと。そのお客様にお詫びや事情説明もなく、アカウントを止めただけならば、ただの逃げとしか受け止められない。
—–
4.個人アカウントで起きた問題が…。
軟式アカウントの中の人が他の人とトラブルになった。そうしたら、トラブルになった相手先にDMで「死ね」やそこのお店に出入り禁止というメッセージがトラブルの当事者以外から送られた。
[この事例のまとめ]
・可能ならば、プロフィールにどの会社の中の人かがわかる文言は入れない。こうすることで、公私混同をかなり避けられると思います。
・人気のある軟式アカウントの中の人はタレント等に近いと思ったほうが良いでしょう。タレントが親しい友達向けにmixi等をやるときには正体を隠しますよね?それと同じことです。
・もし正体バレしていて、個人のアカウントを持っている場合、一個人の発言であり会社とは別であることをフォロワーにきちんと理解してもらう。
・問題が発生した場合には、問題行為をやめるように呼びかけることも必要かもしれません。
—–
5.オフ会での対応に苦言を呈したら…
オフ会に参加した軟式アカウントの方。その対応に苦言を呈した人がいました。すると、その人は、自身の個人アカウントを非公開にして、苦言を呈した人から見えなくしてしまいました。当然、苦言を呈した人は心象が悪くなり、噂がじわじわと広がることに…。
[この事例のまとめ]
・事例4と同じく公私混同は避ける。
・公私混同をさせているなら、個人アカウントと言えども、企業イメージを損なう可能性があるので、言質には十分な注意が必要。
—–
いかがでしたでしょうか?
最近、起きた事例をいくつか紹介しながら、それぞれの事例での問題点をまとめとして、書いておきました。
ユーザーと親しくなり、ファン化することによるメリットが軟式アカウントのメリットですが、人間関係と同様に近すぎても、遠すぎてもいけないことがあります。
ちょうどいい距離感を保ちながら、愛されるアカウントになること。それが勝ち組軟式アカウントになる王道だと思います。
そのためには、
・素直であること。
・誠実であること。
・感謝の気持ちを常に持つこと。
・社内外にネットワークを持つこと。
・会社の看板を背負っているという自覚と責任を持つこと。
が大切だと思います。ただ、これは軟式アカウントに限った話ではありません。社会人として、企業人として、当たり前の心構えだと思います。
会社の社長や広報でなくても、仕事で誰かと会い、名刺を差し出す時は、会社の看板を背負っています。そこに自覚と責任を持つのは当然で、軟式だからということではありません。
当たり前のことを、いかに愚直にしっかりとできるかが問題です。
頭では分かっていても、ついつい、自分の論理で自己保身に走ってしまうのが、人間の性(さが)なのです。
本当に大切なのは、「お前それはまずいぞ」と言ってくれる、社内外の人なのかもしれません。その指摘を素直に聞くことができれば、過度に恐れる心配はないと思います。