震災とメディアの付き合い方
今回の震災ではTwitterやfacebookなどを再評価する話が結構出ているが、個人的には全面的には「その通り」とは思わない。
そして、それと対比するように「マスメディアはダメだ」という意見もあるが、これも違うと思う。
それぞれのメディアには得意分野がある。なので、両方のメディア特性に合わせて使うことが、望ましい使い方なのではないかと思う。
ソーシャルメディアの場合、利点は
- マスメディアが報じないような細かいニーズの情報が得られる。(例えば、○○市の避難所情報は? ○○線は動いているか? ○○さんの安否はどうか?…など)
- 情報の検索がしやすい。
- 自らも発信することができる。
- リツイート、シェアなどにより情報を拡散し、広く知らせることもできる。
一方で、欠点もある。
- 発信者がプロ(ジャーナリストなど)ではないため、誤報がある。
- 古い情報がいつまでも拡散してしまい、新しい情報と古い情報が混ざり、混乱する。
- 情報の洪水が起こり、必要な情報が埋没することがある。
- 発信者が巧妙なデマを仕掛けると、情報の正しさが検証しにくい。
- 使い方がわからない情報弱者には使うことが難しい。
マスメディアの場合、利点は
- 誤報が少ない。(それでも、津波が来る!という誤報をしまくった局もありましたね…)
- 広く情報を伝達することができる。
- ラジオの場合は、消費電力が少ないので、情報を入手しやすい。
欠点は、
- 本当に困っている人のニーズを満たす報道をしにくい。(とはいえ、コミュニティFM局、地域の放送局ではかなり奮闘していたと思う)
- 基本的には大本営発表なので、情報を隠されている可能性もある。
と、こういう利点と欠点があるのではないかと思う。
なので、どちらか一方が素晴らしいとか、どちらか一方がダメということではない。両方の良さも悪さもあり、どう折り合いを付けて付き合うかが大事ではないだろうか。
ソーシャルメディアの場合、誰をフォローするかによっても変わる。放送局や新聞社のアカウントであれば、マスメディアの利点である誤報は少ないだろう。信頼できる情報を出す人を日頃から見極めておくことも大事だと思う。
Twitterの場合、情報洪水対策、古い情報やデマ・誤報の流通対策に公式リツイートを推奨していた。欠点がある上で、「こういう場合は、こうしよう」と決めていって、欠点を小さくする努力もしていた。
同じことは放送局でもあって、NHKなんかであれば教育テレビやNHK-FMを使って安否情報を流したり、民放局でも被災地に入ることができるようになってからは、被災地の人を映したり、メッセージをカメラに向かって話すことでメッセンジャーの役割を果たした。
また、放送局がニコニコ動画やUstreamに対して、映像を流すことを許可した。これでテレビを視聴できない人も情報を得られるようになったことは、従来では考えられないことで、許可を出した放送局の英断は評価していいだろう。
同様にラジオではradikoがエリア制限を解除して、ラジオを聴くことができない人でも情報を得られるようにした。
NHKの安否情報はGoogle Person Finderにも提供されていた。Ustreamやニコニコ動画への再配信許可と、安否情報のGoogle Person Finderへの提供はネットとマスメディアが相互補完した好例ではないだろうか。
どちらにも良いところがあるからこそ、相互補完が成り立ったのではないだろうか。