エコとエゴの狭間

この記事で「大口顧客に有利な料金体系が省エネを阻害している」ということと、「産業界が省エネに無関心」ということを安易に結び付けているのは気になる。

オール電化はエコじゃない!? 東京電力「企業優遇」の商魂
http://news.livedoor.com/article/detail/3641892/

産業界と一口に言っても色々な業界がある。CO2排出抑制に具体的な数値目標を掲げている業界もあれば、形だけの業界だってある。マジメにやっている業界のことを差し置いて、こう書くのは正直腹立たしい。

それとこの記事には、もっと大きな間違いがある。電力の超大口顧客(主に大型の工場)には、ピークが予想される夏場の昼間の料金が高くなる料金体系が適用されているところがあるし、実際に電力需要が増えると「電気を使わないでください」という要請も出る。要請に応じて購入電力量を所定の値以下に抑制すると、電気料金を割り引く制度だってある。

電力を多く使いエコの対極にあると思われている工場に対しては、政策として省エネを求める傾向が強い。この記事に書かれているようなことは、オフィス街や商業地域のほうが当てはまる傾向が強いと思う。

さて、話は変わってエコと思われていることやモノがエコじゃないことが案外ある。

例えば、バイオエタノール。バイオエタノールの原料が植物なので、植物が育つ際に吸収するCO2と、バイオエタノールが燃料として使われて排出されるCO2が相殺されるという論理なのだが、これも大きな落とし穴がある。

製造するのに要するCO2排出量やエタノールの輸送時にかかるCO2が抜けている。

そもそも、本当にエコだと言うなら、不要物から燃料を作り出すことだろう。例えば、雑草からエタノールとか、残飯からエタノールとか、廃建材(木材)からエタノールとか、廃油を燃料転換するとか。

結局は、トウモロコシを高値で売りたいというエゴがもたらした、エコ幻想だろう。

マイ箸運動だって、怪しい。

私が中学生の頃に弁論大会でも指摘したことだが、「環境のために割り箸の使用をやめよう」は嘘だろ?と指摘している。(つまり、今から15年以上前のことだ。この頃から世の中の主流意見を疑う傾向はあったらしい。)

割り箸は、新しい木を切って作っていると思っている人も多いだろうが、間伐材が使われているものも多い。

間伐とは、木が生長するために採光を良くするために適当な間隔を維持するために、木を伐採すること。その伐採した木材が間伐材なのだ。

森林は、単に自然のまま木が育つよりも、人の手を加えて適度に維持されたほうが、木の生長を促す。そうすれば、CO2の吸収も良くなるし、森林は保水能力もある。その人の手が林業なのだ。

林業が成り立つためには、木が売れなくてはいけない。その売れるルートの1つである割り箸の使用を抑制すれば、林業は苦しくなってしまう。巡り巡って、エコではなくなってしまう。

ちなみに、間伐材を使っている商品には、間伐材マークというものをつけることができる。森林維持には林業は欠かせないし、その林業が成り立つためにも経済的に成立する必要がある。エコを意識するなら、間伐材マークがついている商品を選ぶという行動も大事なことだろう。

(参考)
全国森林組合 間伐材マーク事務局(マークや、マーク認定要件を参照できます)
http://www.kanbatsuzai-mark.org/

エコという言葉で安易に飛びつくのではなく、本当にそれがエコなのか検証することも必要で、それを研究・公表する学術面と、そういう情報の整備、そして企業の宣伝文句(エゴ)としてのエコに騙されない賢い消費者になることが求められている。

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