戸別補償制度は一時措置にすべき
以前にも書いたけど、お金を払うだけではいつか破綻する。農業の競争力強化への「つなぎ」措置にすべきだろう。
米作り、赤字分をチャラに 「戸別所得補償制度」は本当に農家を救うのか
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20091012-00000541-san-bus_all
戸別補償制度自体は、直接、農家にお金が行き届くという意味ではいいと思う。でも、これを延々とやると、最後は無駄に高コストにしても補償してくれるから、結果的に良い作物を育てなくなる可能性もある。
本来は農業の国際競争力強化のビジョンが示されて、そこに至るまでには時間がかかるから、その間のつなぎとして戸別所得補償をすべきだと思う。
では、農業の国際競争力強化には何をすべきか。どういう枠組みで行うのか?という問題につながってくる。ここの説明がないから、「ばら撒き」と言われかねない。これでは、自民党政治とどう違うの?と言われてしまう。
例えば、大規模農家化という方法がある。日本の農業はどうしても個々の農家が農地を持ち、農機を購入し…となっている。これでは高コストになってしまう。
広い農地で機械を使って、ダーーーーーーーーーッと作業をすれば効率が良くなるだろう。(その一方で、病気の伝染などの問題も出てくるが。)効率が良くなれば、その分、労働時間が減ったり、低コストになる。農産物の価格が現状と同じ水準であれば、必然的に利潤が増えることになる。
家族経営の農家だと、一家で旅行なんてできない。家族の病気や介護が必要な時も大変だろう。農業協同会社のようなものを作って、農家同士で一つの会社とし、交替で仕事をしたりするような仕組みも必要かもしれない。農業協同会社(仮)には一定の出資規制をかければ、農地を大企業に取られる心配もないだろう。この辺は効率化と追求しつつも、農家の心情に配慮してみた。
もう一つの競争力強化の方向性として、高品質路線がある。
ここまで書いたのは低コスト、高効率の追求により、売価が現状水準にして利益を増やす方法だが、もう一つは商品価値を高めることで、高く売る方法である。
食の安全、より良いものを求める傾向は日本国内でもある。
Oisix(おいしっくす)や
らでぃっしゅぼーやなんかが典型例だろう、実際に食べたことがあるが、実家に居た頃、家庭菜園で育てた作物の味がした。にんじんは甘さだけでなく、独特の香りがするし、トマトも甘いだけでなく酸味と香りがする。
そういう食物を子供に食べさせたいという親も結構いるし、高級品は中国に昨年、米やりんごを輸出したこともあった。
こういう方向にリードしていく方法もあると思う。
農業の問題は食料自給率だけではない。水が潤沢に使える日本では水資源問題は意識しないだろうが、世界では水の争奪戦が起こっているし、水に税金をかけようとする動きもある。
ミネラルウォーターや工業用水・農業用水だけを連想しがちだが、食糧には水分を含んでいるため、この食糧にも水の税金をかけようとする動きもある。諸外国から食糧を輸入している日本は、これが実現すれば輸入食糧は高くなる。
高くなるだけなら金の問題で済むかもしれないが、規制をかけられたらアウトだろう。
逆に潤沢に水がある日本はこれを逆手に取って農業国として世界に輸出し、水の税金を取るという方法だってある。その税金の一部を農家に還元するという方法も取れるのではないか。
前記事の羽田のハブ空港化もそうだけど、「○○やります!」とブチ上げるだけじゃなくて、それに伴って影響を受ける利害関係者に出口対策をきちんと説明をする必要がある。
国民は政治がやった結果だけでなく、途中の経過も知りたいし、場合によっては世論という形でその方法・考えにYes/Noの意思表示をしたいのである。それが本当に国民に顔を向けた政治だと思う。
せっかく政権交代をして、国民は少なからず民主党に期待している。どうか、そういう点にも配慮して欲しいものだ。