JR西 社長が起訴を受けて辞任

被害者感情に配慮して自ら辞任したのではなく、起訴されたから辞任する。JR西日本の企業体質を示していると思います。

福知山線脱線 JR西の山崎社長が辞任表明…起訴受け会見
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20090708-00000021-maip-soci

少し報道に補足すると、報道では「事故のカーブにATSを取り付けていれば事故を防げた」という報道をしていますが、正しい報道ではありません。

当時も、福知山線にはATS-SWという方式のATS(列車自動停止装置)がありました。

ATS-SW(あるいは全国のJR線ではATS-SNやATS-ST、ATS-SS、ATS-SK、ATS-SFと呼ぶ地域があります。)は、ATS-Sが単に赤信号に突っ込んだら警報を出すだけだったものを改良して、赤信号で突っ込んだら止まるようにしたものです。

一方で、報道で言っているATSは、ATS-Pと呼ばれるもので、これはATS地上子(線路の間に弁当箱のような機械がある。)がカーブの手前に設置され、地上子の設定が「○○km/h以上なら減速または停止させなさい」という指示を出すのです。

なので、先の文を正しく報道するならば、「事故のカーブにATS-Pを正しく取り付けていれば事故を防げた」となります。

「正しく」と書いたのにも理由があって、該当線区を単にATS-Pにしただけではダメで、カーブの手前にATS地上子を設置し、その地上子に

「速度制限が○km/hで、速度制限まで○mの位置にある。」

という情報を正しく設定しなければ、やはり事故が防げないか、制限速度以下で動作して、列車が勝手に止まってしまうことになるのです。

また、ATS-SWでも、速度制限による列車停止(これを速度照査機能と言います)は可能であり、この場合には費用も比較的安価に済むのです。

なので、もっと正確に報道文を直すならば、

「事故のカーブに制限速度を検知して停止させるタイプのATSを取り付けていたならば、事故は回避できた。」

となります。ATS-P以外にも速度照査機能はあるのですから。

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と、前置きがかなり長くなりましたが。

被害者感情や社会の声を無視して、社長に昇格した時点で既にJR西日本は世間一般から乖離していると思いました。

被害者たちから辞任要求が出ているのに、居座り続けて、起訴という事態になってようやく、辞任する。

お上の言うことは聞くけど、世間の人々、そして被害者の声は無視し続ける。この企業体質は事故当時と何も変わっていないように私は思います。

被害者がなぜ辞任を突きつけたか。

もし、JR西日本が真摯に安全対策に取り組んでいたならば、その対策こそが被害者に対してできるお詫びだったと受け止めたことでしょう。

「二度と同じことを繰り返してはいけない。そのために私は社長として陣頭指揮をする。」

これならば、納得してもらえたでしょう。

そして、その対策に目処がついた時点で、改めてお詫びをし、後を引き継ぐ者にその精神をしっかりと受け継いだ後、責任を取って辞任する。

社長の椅子に座るなら、こういう覚悟は必要ですよ。そして、その覚悟がご遺族や被害者の方々にしっかりと説明し、実績を残したら、辞任要求は大きくならないと思います。

事故から4年。社長交替は2006年2月ですから、3年5ヶ月経って、やっと辞任。

あまりにも遅すぎる辞任だと思います。これでは、ご遺族・被害者の気持ちを察すると、納得できないと思います。

社長が辞任しても、安全へのたゆまぬ努力は続けていかなくてはいけません。ご遺族・被害者への充分な補償も行わなければいけません。

JR西日本は、これからも重い十字架を背負って、こんな事故を二度と起こさないための努力と被害者への補償を続けていかなければならないのです。

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