新mixi利用規約の公開

さて、私なりに新旧対照表に書かれていることについて、指摘や感想を述べていこうと思います。

一番問題となった規約第18条は次の通りになっています。

mixi利用規約 第18条

  1. 本サービスを利用して投稿された日記等の情報の権利(著作権および著作者人格権等の周辺権利)は、創作したユーザーに帰属します。
  2. 弊社は、ユーザーが投稿する日記等の情報を、本サービスの円滑な提供、弊社システムの構築、改良、メンテナンスに必要な範囲内で、使用することができるものとします。
  3. 弊社が前項に定める形で日記等の情報を使用するにあたっては、情報の一部又は氏名表示を省略することができるものとします。
  4. 弊社が第2項に定める形で日記等の情報を使用するにあたっては、ユーザーが設定している情報の公開の範囲を超える形ではこれを使用しません。

18条では、「当該日記等の情報を日本の国内外において無償かつ非独占的に使用する権利(複製、上映、公衆送信、展示、頒布、翻訳、改変等を行うこと)を許諾するものとします。 」という文言が、日記を無断で使って本を出すという騒動になりました。

新18条は、かなりこの批判を意識している内容だと思います。

18条1.では著作権をわざわざ明確にしているというのがその証拠ですね。普通は、謳わなくても著作権は制作者に帰属するものだと思いますが。

18条2.が意図として説明した内容を明確化しています。このように限定された条件の下で限定された権利を使わせてくださいと断るのであれば受容できる内容だと思います。厳密に言えばバックアップなどでデータを改変すれば、著作権法の改変行為となり、権利者に許諾を得なければならないので、それを条項に書くことで、無用なトラブルを避けたかったのでしょう。

18条3.は改変の詳細とも言うべき内容で、2.があれば不要だとも思うんですが。かなり、mixi側がナーバスになっているのがよくわかります。

4.も懸念されたことで、それを明文化したのは評価できるでしょう。

一方で、評価できないのが、第19条5項1号(イ)です。

mixi利用規約 第19条5項1号(イ)

弊社が閲覧等の同意を求める電子メールを送信してから7日以内に、これを拒否する旨の当該ユーザーの電子メールでの回答が弊社のメールサーバに到達しなかったとき。ただし、緊急止むを得ない事由が生じたときは除く。

旧来の文言では、メール送信後「2日」だったのが7日に延長されています。この件は、過去のブログでも指摘した問題で、若干、改善されましたが、7日程度なら旅行に行ったりすると余裕がありませんよね。

本来ならば許諾を得るまで行使しないのが普通ですが、非アクティブユーザーを想定する場合には時間を定めて自動的に許諾という考えは必要だと思います。せめて、1ヶ月程度は必要ではないでしょうか。

また、その一方で、自動的に許諾とした場合に、後からでも拒否された場合には、情報の利用を差し止めるような条文がないとmixi側の都合と利用者の都合のバランスを欠くと思います。

例えば、大怪我で入院とか、植物状態から意思表示を示せるほどまで回復などのケースを想定すれば、1ヶ月という私案を超過してから拒否の意思表示を示すケースもあります。だからこそ、後からでも拒否を受け付けることが必要なのではないでしょうか。

また、「ただし、緊急止むを得ない事由が生じたときは除く。」という文言が追加されています。これも曲者ですね。そもそもどういう事態を想定しているのかもわからないのであれば、この一文を削除すべきではないでしょうか。

mixi利用規約 第20条3項

権利者と称する者から、日記等の情報が自分の権利を侵害する旨の申告があった場合。ただし、権利者と称する者から、権利者であることを合理的に判断できる資料を提示され、弊社にて慎重に検討した結果、権利者であると弊社が判断した場合に限る。

この条項も後半が追加されています。

第20条は削除権限の条文で、全部もしくは一部を削除したり、公開範囲を変更する措置を取るというもので、どんな場合に権限を発動するかを定めたのが、赤字の文です。

個人的には、申告があった時点で仮処分として、公開範囲を本人のみに変更。権利者からの合理的な資料が提示された時点で本処分に移行するようにしたほうがいいと思います。

確かに、いきなり全部削除というのは、権利者と称する人間が実は権利者でなかった場合に、利用者に不利益をもたらします。

でも、その一方で、合理的に判断できる資料が提示されるまで、権利者が権利を侵害されたままというのもバランスを欠くと思います。

動画規約も、上記に相当する内容ですので、この記事では割愛します。

利用者の著作権に関する条項は、大批判を浴びたのでかなり改善されていますが、そのほかの条項では、独善的なmixiの姿勢が見え隠れしていると評価せざるを得ません。

また、この規約案は、4月1日から適用とのことですが、これだけ大騒動になっていること、条文の再変更が3月19日公開で10日程度しかなく充分な議論と合意形成されていると判断しがたいことから、もう少し日程を先にするのが本来ではないでしょうか。

mixiが修正規約を公表 「ユーザーに著作権」明記
http://news.livedoor.com/article/detail/3561205/
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20080319-00000090-zdn_n-sci

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