棒読み解析に関する質問と答え
Twitter外で聞かれることをちょっと答えておこうかと思います。
質問:番組全編の書き起こしはしないんですか?
答え:やる予定はありません。
理由はいくつかあります。
- 時間がかかりすぎる。
- 番組本編の空気感までは文字では再現しきれない。
- ただの書き起こしには興味がない。
一つ一つ説明すると、時間がものすごくかかるんですね。書き起こしって。特にラジカムちゃんは非常に早口で喋る場面があると、聞いては戻り、聞いては戻りを繰り返すのですが、この反復がものすごく多くなります。
また、再現度を上げれば上げるほど、細かい部分まできちんと表現する必要がありますし、ざっくりまとめるなら、箇条書きで終わってしまいます。
ここでは、再現度をやや高め程度にしています。完全に再現すると、言葉に詰まった時の「あー」とか「えー」も入れるのですが、わざとこれを抜いている部分と、きっちり入れている部分を使い分けています。
棒読み解析の場合には、この部分も極力再現して、言葉に詰まっている状況を再現しようとしています。一方で、ラジカムちゃんのように早口でバーッと駆け抜ける場合にここを再現すると、その雰囲気と文字で読んだ時の違いが生じるので、わざと間引いていることがあります。
番組全編の書き起こしをしない一番の理由は、書き起こしが存在すると、それだけを見て満足しちゃう人がいるんですね。それは、本意じゃないです。番組を聞いた上で、楽しみとして…いうなれば、番組を勝手に外野が拡張して楽しんでいるような位置が私の記事です。
この番組は、そこまで毒っけはないのですが、深夜番組でDJ・パーソナリティーが軽く毒を吐く場合。前後のやり取りや、口調などを総合的に見て、ジョークの範疇なのか、それとも問題発言なのか感じ取るわけですが、文字では、どうしても、口調までは再現できないですから、書き起こしが変に存在することで誤解や曲解が生まれるのを避けたいというのもあります。
ただの書き起こしに興味がないのも、そうした理由なんですね。棒読み解析は、ありのままの書き起こしと、そこから正解を推測する推理ゲーム的な要素で構成しています。正誤表のような関係があって、聞いていた人がこれを読むと「こんなに間違っているのか」とか「すごい間違え方だ」と、さらに楽しめるんですね。
このコンセプトは最初から持っていたので、ただ書き起こして終わりにしていないのは、そのためです。
質問:記事はどうやって作っているんですか?全体の流れを教えて下さい。
答え:書き起こし→推測→編集の順で行います。
まず最初に録音したデータを元に書き起こしをします。ここはいいですよね。
次に書き起こした内容を読んで、おかいなところを探します。明らかに間違っているとわかるものから、時々ある、間違っているのに意味が通じるようなもの(例:「社会」が正しいのに「会社」と読んでいて、意味まで通じる)まで、一度洗い出します。まず、この時点で「おかしい」と気づく段階で、国語力と雑学が必要でしょうか。
4/30放送分の場合は、桜がテーマでしたが、私を含めて大半の人は、そこまで桜の品種には詳しくないですよね。
「なんか変だぞ」と気づいた後は、それを確定させていく作業…つまり、調査があります。
4/30の例だと、「しちまざくら」という誤読がありますが、これをそのまま入れて「もしかして:」とGoogle先生が教えてくれればラッキーです。
大体の場合は、たぶん、「しちま」→「ちしま」、「わずかざくら」→「わづかざくら」→「カワヅザクラ」のように推理していきます。
恐らく難易度が高いであろう「となりな」という誤読は、原稿が漢字で「隣」という字に似ているもので、形容する語句と推理します。「可憐な」の憐が隣に似ていますよね。(へんだけが違う)
このように解析作業は、同音異義語、同訓異義語、漢字の知識、雑学という基礎に、調査能力と勘やひらめき、間違いの癖の把握が必要なんですね。
こうして間違いと正解の見当をつけても、それが正しいかどうかを調べて一つづつ確定させていきます。
これだけだと、正誤の対照表ができただけです。これをそのまま出しても記事としては面白くないし、一度に公開しても読みにくいです。
そこで、パートごとにわけて、正誤を出し、ツッコミを入れたり、推理過程を書いて、読んでいる人が楽しめるように編集していきます。間違いの箇所を赤太字にして、わかりやすくし、対になる正解と思われる原稿も同じように赤太字にしていきます。
この過程を見せるというのも重視しているポイントで、後日、スタッフさんが記事の間違いを指摘した場合も、追記はしても、公開したものを変えることはしません。読んでいる人も推理し、正解に迫る「読み物」にすることが目的なので、どういうツッコミが入って、それに対して、どう直したかを書いていくようにします。
質問:記事の作成にはどれくらいの時間がかかりますか?
答え:だいたい1時間です。
放送が終わると、録音データの変換作業がはじまり、01:45頃から書き起こしがはじまります。
だいたい、02:20頃まで書き起こしをし、推理と調査で02:35くらい。
ここから記事化と編集をするのですが、途中で、Team くれれっ娘のラジオ予備校(くれラジ)を聞き、実況ツイートをするので中断。
03:05あたりに記事が完成して公開されます。
なので、出来上がったばかりの記事を読みたい人はラジプロがはじまり、モカラジの開始前くらいに出来上がっていることが多いです。
手間取っている時だと、03:40頃に仕上がることもあります。
だいたい、11:30頃にはスタッフさんからツッコミが入って、13:30頃までには確定し、最終の追記が終わっています。このスタッフさんのツッコミがあることで、答え合わせができるので、この時間はものすごく貴重で有り難いんです。