誰のためのマニュアルなのか
ダメ人間系の話ですが、身近なところではないので。
仕事のパソコンのブラウザや諸々のアプリケーションの更新作業の告知とマニュアルが開示されて、私もやった。
だいたい、この手の作業は、事前に我々のようなシステム関係者に先行公開され、マニュアルや更新プログラムの挙動確認依頼というのが届くのだが、最近は省略されて一般ユーザーと同じタイミングに知ることになる。
そうは言ってもシステム関係者なので、一般ユーザーが問い合わせをしてくるかもしれないから、用心するんですね。
マニュアルを精読し、その通りに実行し、本当にマニュアル通りの挙動をするかチェックを開始したわけです。
マニュアルは大筋では間違っていなかった。確かにテクニカル的には問題はない。が、細部では利用者が困惑するだろうなーという場面がいくつかあった。
例えば…
マニュアルでは再起動の後、別のアップデートパッチを当て、さらに再起動した後にブラウザのバージョン確認をするために、ブラウサを起動し、その際にセキュリティ警告が出てきくるから、その場合には、[はい]のボタンを押せと書いてある。
しかし、実際の挙動はブラウザが自動起動して、セキュリティ警告が出てくる。
しかも、マニュアル上、同じページに書いていなくて、少し先に書いてある。
たったこれだけのこと?と思うかもしれない。
でも、利用者のスキルなんてマチマチだし、マニュアルを順番通りに読む人、ある程度先まで読んでやる人と色々なのだ。
そんな色々な人を相手にしている我々のところには、こういう作業依頼をすると、山のような質問が届く。
そういう質問をさせずに済むように、利用者が困らないようにするためにマニュアルは細部まで、きちんと書く必要がある。そうすることで、問い合わせ件数を減らして自分たちの作業負荷を下げよう…とは考えないのだから、困ったものである。
他にも、ブラウザのバージョン確認の項目なのに、途中で別のプログラムのことが書かれている。これでは、利用者は「え?なんで??」と思ってしまう。
逆に、必要のない記述とか、省略できるものがある。
「ブラウザの初回起動は65秒待ってから…」
なんていう記述がある。
こんなのは、先に他の確認作業をさせれば65秒待たせなくても済むだろう。順序を入れ替えれば問題ないものは、極力省いてあげたほうが親切というものだ。
システム関係者にはテクニカルノートとして、Internet Explorerのエンタープライズモードは初回起動に限り65秒待つという記述はあってもいいとは思いますけどね。
細かいことだけど、Windows Vista以降に出てくるユーザーアカウント制御(UAC)のポップアップが出るとか、出た場合に[はい]を押すのか、[いいえ]を押すのかとか、こういうのだって、WordとExcelとPowerPointとブラウザとメールくらいしか使わないような利用者は
「え?なにこれ?どうしたらいいの?」
となるものだ。パソコンに詳しい人は、
「それくらいわかるだろ」
だと思うけど、そうじゃない人が世の中にはたくさんいること、そういう人たちの問い合わせ対応コストを下げるためにも、マニュアルはきちんと作って欲しいな…と思ったのでした。