レバリッジはどちらにも働く
Twitterで発生した事件について、また取り上げてみよう。
OKGuideのアカウントが、スパム行為とも言うべきことを行い、ユーザーから反感を買ったという事件が起きた。
事の詳細はtogetterにまとめがあったので、これを読んでみるのが一番早いだろう。
ハウツーサイトのバブルに乗っかりたい?OKGuideが『追いつかれないように』と発言 ? @OKGuide 消滅
http://togetter.com/li/73847
問題となったのは、
1.nanpiの資金調達の話題に対して、「ハウツーサイトのバブルに乗っかりたい」という発言
2.このニュースについてツイートしている人に、@を飛ばしまくる
という2点だ。
1.については、儀礼として問題だし、2.についてはUCCのTwitterキャンペーンの騒動が記憶に新しいところだし、自社のことを言及しているわけでもないのに、「OKGuideもよろしく」などと宣伝ツイートが来たら気分が悪い。
これは、Twitterのタイムラインや@は自分の庭のような感覚があり、そこに土足で踏み込むようなマネ(宣伝など)をすることは嫌われる行為である。
この騒動も比較的早期に幕引きとなったたこと、人力で行っていたため広範囲ではなかったため、togetterでまとめられる程度で済んでいる。
だが、その後始末はあまり良いとは感じない。
公式Twitter(と、言いつつ通常は軟式)でお詫びと運用の停止を告げるのみで、プレスなどを見ても経緯説明などはない。
UCCは、この件を非常に真摯に受け止めて、事情説明や再発防止、その後については研究をし、それを広く公開した。真正面からガッツリ取り組んだこの事例はTwitterだけでなく、企業の危機対応としての好例を示したと私は思う。
時代は隠蔽・矮小化ではなく、公開と可視化、教訓の共有化だと思う。ワンフレーズで言うなら、クローズドからオープンだと思う。
確かに話としては小さく済んでいるので、積極的に広報する必要はないと思うが、少なくとも経緯、初動対応、今後についてくらいは、きちんとまとめてどこかに載せておいても良かったんじゃないかと感じた。
そして、軟式アカウントとして注目を浴びた企業が、こんな杜撰な運用をしていること自体が、相当なイメージダウンだと思う。
最初のうちは実験的にスタートしたのかもしれない。それが、徐々に(突如として爆発的に)大きくなって、そのまま運用をするようになったかもしれない。
さらに、様々なメディアで取り上げられてアクセルを踏み込んで、アカウントを増やし、Twitter(ソーシャルメディア)に関する理解を十分にないまま、担当をしていたのではないか。
軟式というのは、非常にギリギリのところを突いた運用だと私は思う。
ゆるくツイートしてユーザーと交流をするというのが特徴だが、その前提は、それぞれのメディア特性を理解した上で、守るべき一線を守った上で、ゆるく行うものなのだ。
担当する人も人間だから、ついつい度が過ぎることもあるだろう。だから、「ギリギリのところを突いた」と書いたのである。
それ故に、「流行だからやっちゃえ」というイケイケドンドンのノリは少々危険だと思う。実験的に肩肘張らずに試行するフットワークの軽さはいいけど、軽率であってはいけない。
正直、私は、これも軟式バブル崩壊の歴史の1ページになる事件ではないかと思っている。「驕れる者は久しからず」という事例になるような気がしてならない。
1つの成功を収めて風向きが追い風になるのは推進する人にとっては楽だと思う。だが、車だって、アクセルとブレーキを上手に使うから、道路を難なく走れるのである。加速だけでもいけないし、減速だけでもいけない。
私は、少々、加速し過ぎたのではないかと思っている。もう一段加速するために、ブレーキをかけて足回りを強化して、それから再加速すべきだったのではないかと思う。その足回りの強化は教育…それもただの座学ではなく、実践を通じた教育だったのではないかと思う。
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そして、以前の記事と重なることがあるが、ソーシャルメディアの効果はプラスにもマイナスにも働くのである。それが、タイトルの「レバリッジ(てこ)はどちらにも(プラス、マイナス)働く」という意味である。
ここまでは、軟式の先駆者の一人として、プラスのレバリッジを享受してきただろう。しかし、今回はマイナスのレバリッジに働いた。これが弱小アカウントだった頃なら、まとめられても微々たるものだっただろう。
レバリッジはどちらにも働くのである。過剰に恐がる必要はないが、守るべき一線、常識や良識をしっかりと持ち合わせていないと、今回の事例のようなことになる。
常識的に考えても同業他社の話題に乗じて宣伝するなんて、もってのほかである。これはTwitter云々の次元ではなく社会人一般としての常識の問題だと思う。
せいぜい絡むとしても、お祝いの言葉か、謙虚さを持った上で共栄として「うちも頑張る」とお互いにエール交換する程度でしょう。(Twitterのゆる~い文化的にはライバル社同士が仲良くやってることはあるし。)