レシピは著作物になりにくいんだ
今日の行列ができる法律相談所での事案。ブロガーにとっては、他人事ではない著作権侵害の話題でした。
簡単に事案を説明すると、料理ブログを行っている主婦。ふと手にした本を見ると、自分のブログの内容が盗用されていることに気づく。果たして、この場合、著作権侵害となるか否か。というもの。
4人の弁護士の先生のうち、3名は著作権侵害に当たらない。という判断。
ブログという媒体が問題なのではなく、レシピは「アイデア程度」であって、思想や創作性というものが少ないから著作物になりにくいのだという。
残る1名の先生は、ネーミングや写真などの部分は著作物になり得るという判断。故に、それを盗用したのだから、著作権侵害に当たると判断したそうな。
しかし、気になるのは、「思想」とか「創作性」というのが、何を持って判断するかですよね。独自性とか、他の人より抜きん出ているという判断は、何をもって行うのか・・・。
私のブログでも、日々、日記的な内容から、論評めいたものまで雑多な文章を書いているわけですが、今日の話を聞くと、「著作物」って、意外とハードルが高いのかな・・・とも思ったりするわけで。
その一方で、「著作物」であるならば、生み出された時点で自動的に発生するのが著作権でもあるんですよね。(著作隣接権とか、関連する権利も含めてね。)
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ただ、その一方で、この事案、裁判外(法的知識以外)で勝つという方法もあると思うんですよね。
あり得る方法は、問題となった書籍および出版社を名指しで、明確に、その主婦のブログで非難すること。
この事案の場合、主婦のブログは、それなりに固定の来訪者がいるでしょうから、その人たちを味方につけるのです。
そして、この場合、著作権→金ではなく、商道徳とか、人のふんどしで相撲を取るような汚い行為に怒っているということを前面に出したほうが、オーディエンスを味方につけることができるでしょう。
「金が欲しいからゴネている」と受け止められると、一転して、世論の風当たりが強くなりますからね。
私も、こんなことをされたら、お金以前にやっぱり、自分のアイデアとか、苦労して生み出されたものに敬意を表さず、盗むマネに腹が立ちます。
私が割れ物(ネット上でソフトウェアや音楽などを違法配信して得られた物)に強い不快感を示すのは、私自身も、日々、こうして文章を作っているので、何かを作る大変さを(多少なりとも)理解しているからなんです。だから、そういう人たちの権利を踏みにじり、対価を支払わない人に腹が立つんですね。
もちろんプロの作家さんや、作詞家さん、作曲家さん、アレンジャーの方、そして、楽曲を制作しているアーティストさん、ソフトウェア開発者・・・と同列だとは思いませんが、モノを作る立場という意味では大変だと思うのです。
逆に、きちんと連絡を頂いて、事前にゲラの確認をさせていただいた上であれば、内容次第では無償での転載や掲載を許諾することだってあります。
ゲラの確認を含めるのは、文章を部分的に切り取られ、私の意図を捻じ曲げて使われることを防ぐためですね。これは、有償であろうと、無償であろうと必須にしたいと考えています。