テラ豚丼問題
食品・外食を巡る問題の中で一番厄介なことが起きた。
吉野家テラ豚丼問題である。
世の中のメガブームにあやかり、それよりももっと大盛のテラ豚丼を作ったら面白いだろう…やった当事者の意識はこの程度かもしれない。
いや、私も、これをプライベートでやったなら、「馬鹿なことしてるな」で済ませる。
だが、これはちょっと事情が違う。叩かれる問題となった行為は
1.制服を着て厨房で作っていた。つまり、勤務中である。
※吉野家によると、まかないは7割引であって無料ではない。よって、相応の代金を支払ったのか?という問題もある。(7割引についての情報は、GIGAZINEの記事参照)
2.作成中、丼や手に付着した汁が鍋にぽたぽたと入っている
※その鍋の豚丼は他のお客様に提供するんですよね?衛生的に問題。
3.2.の問題を指摘した後の弁解が「少し食べて鍋に戻しました」
※その鍋の豚丼はやっぱりお客様に提供したんですよね?残飯を客に食わせるとはどういう思考回路なんだ?
4.きちんと食べるために超大盛のテラ豚丼を作ったならともかく、食べ物を粗末にするなど言語道断。
5.勤務中に異物混入の原因となる可能性がある業務に不必要なもの(この場合は動画を撮影した携帯電話)を厨房に持ち込んだこと。
と、以上、5点だと思う。
この事態を受けて吉野家はプレスリリースで「全社を挙げて該当する店舗・従業員の特定を行っており、事実確認が出来次第、厳正な処分をする」と公表。
と、いうのが、現段階で判明している事実だろう。
まず、吉野家の社としての対応は早いし、これは正解だと思う。これだけ事実が判明している中、知らぬ存ぜぬを決め込んでも無駄で、プレスで明確にしたことは良いことだろう。
だが、このプレスを見ると、関係者が腸が煮えくり返る思いをしているのが何となく伝わる。「全社を挙げて犯人探しをする」というのが、そうだろう。普通はせいぜい、「関係者を調べ、事実関係を確認」という程度だが、「全社を挙げる」ほどの重罪という認識なのだ。おかっ引を総動員してでも血祭りに上げるということだろう。
で、冒頭に書いた「食品・外食を巡る問題の中で一番厄介」と書いたことだが。
一連の食品偽装は、明らかに産地や日付を偽装していた。明確な悪意があって行われ、しかも組織ぐるみだ。
だが、このテラ牛丼は違う。食品も食材も問題がない。問題だったのは従業員のぶっ飛んだ思考回路であり、そこに悪意がない。最初にも書いたが「こんなものを作ったらウケるだろう」という思考なのだ。
偽装の場合には、バッサリと切って膿を出し切ることもできなくはない。
でも、これは厄介なことにアルバイトがやってしまった。外食産業でもコンビニでもアルバイト比率は高い。
それでも店舗運営ができるように教育やマニュアルを整備したが、教育は単なるオペレーション教育、マニュアルも逸脱してしまった。つまり、教育もマニュアルも根本的なことを教え切れていなかったというを証明してしまったことになる。
「アルバイトに倫理教育なんて」
これが実際の感想かもしれない。しかし、その倫理感が大きく欠如した結果、このようなことが起きてしまったのではないか。
騒ぎを大きくするなら、どの外食チェーン店でもやっているのではないか?という疑念をユーザーである私は感じてしまう。
コンビニだって、店頭調理が増えてきているのだから、これだって安心できない。
これが、単に吉野家の特定店舗の特定のアルバイトだけだった・・・であれば良いのだが、先に書いたように外食産業全般にまで疑いの目を持つようになるかもしれない。
だから、私は「厄介な問題」と書いたのである。この問題、果たしてどうなるか。今後が見ものである。